ジェロントロジー検定試験のススメ

老年学を実践の武器にするために

柴田博

一般社団法人日本応用老年学会会長
ジェロントロジー検定テキスト編集長

柴田 博

「ジェロントロジー(老年学)」は、今から100年前に生まれました。もっとも新しい学問といえます。新開委員長が紹介している、サムエル・ウルマンの詩が書かれた頃です。

ご承知のとおり、ルネサンス以降、学問は急速に発展しました。しかし、学問の間の壁ができたり(タテ割り化)、ひたすら分析のみを追及する(タコ壺化)弊害が目立ってきました。

老年学は、そのような弊害を克服し、総合的にものをみるための学問として誕生したのです。人間をみる場合にも、心と体を統合的にとらえることが大切なのです。

この学問には、基礎、応用、実用の三段階があります。人間の心と体の加齢変化や高齢社会の実像を正しく認識することは基礎老年学といえます。それを、より具体的にとらえることは応用老年学です。さらに、それを高齢者向けのサービスや商品開発に活用していくのは実用老年学といえます。

日本応用老年学会の行っている検定試験は、老年学を実用にも役立てることができる知識を身につけていただくためにスタートしました。企業やさまざまな団体で活動している方々に役立てていただくことはもちろんのことです。また、家庭内で高齢者と交流している方々、社会で互助の活動を行っている方々が基礎知識を身につけることも企図しています。

若い方々が老年学を学ぶことは、社会に対する見識や自分の人生に対する備えを磨いていくためにも大いに役立ちます。

高齢者や高齢社会にかかわっている人々が、すべて、検定試験に合格し、自信をもって日々の活動に専心されることを願っております。